杉原 桂の自分研究室

ユアクリニックお茶の水の院長、杉原桂のブログ。

院内会議とナラティブ

クリニックをはじめてから2年と5カ月。

 

拡張しないといっぱいいっぱいになってきた。

 

しかし。計画は早急に動かしても

 

正しい方向にはうごかない。

 

そんな体験をした。

 

山登りのチームで、なぜ道が変わるのか、納得出来ないまま付き従うようなものか。

 

リーダーの思惑とは別に、それぞれが見えているモノが異なる。

 

そこで会議を開く。

 

山登りを止めて、小休止。食事もしつつ

ビジョンを共有。

 

そこから、メンバー全員の想いを聞き取る。

ポジティブもネガティヴもどちらでも。

 

そこで、まだまだ自分の中に

言い訳犬が住んでいることを知る。

 

すぐに、理由を述べたがる。

正しいための理由を探す。

その呟きが、聞こえてくるけれど

そいつは横に置いておく。

 

レジリエンスでは、犬とかオウムという表現でこの内的対話を名付けている。

U理論では、いつものパターン化された反応としてダウンローディング、と呼ぶ。

 

名前はどれでもかまわない。

今はただ黙って、相手の真意や気持ちを受け止めることに集中する。

 

すると不思議なことが起きる。

その場から何とも形容しがたい

エネルギーのうねりのようなものが発生してくる。チームが一つになってくる。

目を赤くして語るヒトが出てくる。

 

これこそがナラティブの力だろうと僕は思っている。見えないものだが、確実に感じられる場の空気の変化。

 

質的研究で伝えられるだろうか。

オープンダイアローグでは、これが発生しているのではなかろうか。

天外伺朗さんのいうところの、燃える集団では、これが起こっているだろう。

 

もちろん全部が全部手放しで

語らせればうまくいくというわけではない。

ほんの僅かに、偏りに対してはニュートラル寄りへのファシリテーションが、必要な場面もあると思われる。

 

ナラティブを、医療の世界に届けたい。

そう思ってモデルになるクリニックを立ち上げた。これを3つに増やして、他の医療者からマネされるクリニック経営にしていきたい。そこで仕事する人が、健康になっていく職場。人間的成長を、していく職場。

 

この波紋を、広げていこう。

そう思える自分史上の特異点であった。